ダイワメジャーの牡馬、誕生

ここでは、「ダイワメジャーの牡馬、誕生」 に関する記事を紹介しています。
 今回は、久々に心底疲れました。

数日前から乳ヤニが付いた繁殖牝馬。

「産みそうな気配をしながら、産まない」のです。

夜間、モニターに映る彼女は、時折前掻きをするため、人間は寝るに寝られず、徹夜。

朝になり、放牧しても前掻きをするため、パドックへ。

そんな日が2日ほど続き、3月1日午後1時半、ようやく破水。

お産馬房へ入りました。

「やっとだね!昼間で、まだ良かった。今日は寝られるぞ」

そんなひそひそ声で見守り始めた私たちでしたが、いえいえ、そうはいきませんでした。

ニョキッと出てきた肢の太いこと!

先日生まれたワークフォース牝馬と比べると、まるで違います。

「オトコだな・・・」

そんな予想をしながらも、まずは無事に産んでくれないと・・・と、気をもむこと30分。

気温2℃の馬房で、湯気が出るほどの大汗をかきながら、うんうんうなっていた母馬は、時間がかかりながらも、なんとか無事に仔馬を分娩してくれました。

ダイワメジャーの鹿毛の牡馬。

3・誕生・直後
 

これは、休憩室で一緒に見守っていたミケ。

3・誕生・ミケ
 

「しっかりしているし、かっこいい!」

3・誕生・メジャー牡馬
 

束の間、安堵の空気が流れます。

3・誕生・母と仔
 

しかし、母は初めての出産。問題はそれからでした。

刺激を与えないように、静かに、さりげなく、分娩後の処理を行います。

奇妙な顔をして、初仔を見る母。

3・誕生・母立ち上がり
 

意外に早くなめ始めたので安心していたのですが、今度は、「仔馬が立たない」ときました。

立とうとする素振りは見せるものの、体が大きくて自由がきかないのか、もぞもぞしているだけ。

通常1時間もすれば立ち上がる仔が、2時間経っても、3時間経っても自力では立てず、座ってばかりいるのです。

「重たいんだな」 結局、誕生から3時間半後に、人間の補助のもと、やっと立ち上がりました。

そして、ここから、もっと恐れていたことが始まります。

乳を飲もうと近付く仔馬を避けるように、母馬がぐるぐる馬房内を回り出したのです。

立ち上がる前にも、何度か仔馬を踏みそうになったり、危ない行動を見せていた母馬。

仔馬が自分に接触すると、「キイッ!」という悲鳴を上げて肢を上げたり、首を上下に振ったり。

「乳を飲ませない」 ・・・事態は深刻でした。

産んだ仔を拒否して母になれず、代わりに乳母を連れてくる話をよく聞きます。

噛み殺したり、蹴り殺してしまう例もあるとか。

「まさか、そうなってしまうの?」

ここへ来て14年。私は、これまでこんな光景は一度も目にしたことがありませんでした。

母馬は、競走馬の時に、気性がきついことが災いし、中央での勝利をつかめなかった馬。

そんな背景を考えると、この行動もわかる気がします。

「イライラしないで!」

祈るように見守る私の横で、しばらく見ていたリーダーが、ついに馬房に入りました。

母馬の無口に綱をかけ、「コラッ」と威嚇。

動かなくなりました。

片手で綱を持ち、もう片方の手で、仔馬の鼻先を乳房に誘導。

「ヒイッ!」

本能で舌を動かす仔馬に体をなめられ、くすぐったいのか、張った乳房が痛いのか、絶叫する母。

こんな状況を何度か繰り返し、初乳を飲むことがようやく完了します。

「よくやった」と、母には、ごほうびのリンゴ。

しかし、人がいなくなると、またイライラし始め、モニターに暴れる母の姿が映ります。

「辛抱強く、頑張るしかないね・・・」

メジロマックイーンの母、メジロオーロラも初産は、こうだったとか。

結局、リーダーは、お産馬房の隣で一夜を明かすことになりました。

連日のモニター監視の疲れで爆睡してしまった私が起きる頃には、やっと人の手なしで授乳できるようになった母馬。

それまで立ちっぱなしだった彼女も、緊張の糸がとけたのか、ようやく寝藁の上に体を投げ出していました。

出産から24時間が経った、3月2日の午後2時。

寝起きが上手になった、メジャーくんです。

3・誕生・24時間後
 

「お母さんから離れることにならなくて、本当に良かったね・・・」

3・誕生・顔
 

乳を飲み始める時、やはり「キイッ」と声が出てしまう母馬。

反対の乳房からしたたり落ちる乳を見ると、乳量が多く、良い母であることがわかります。

少しずつ、愛情もわいてきた様子。

3・誕生・授乳
 

一時は、どうなることかと思いました。

人間の根気と、母の辛抱と、仔の生命力で、なんとか乗り切った出産劇。

この先、まだ一山もふた山もあるかもしれませんが、皆で温かく見守っていきたいと思います。


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コメント
この記事へのコメント
何日もかけての出産・そしてその後の様子 とても大変だったんですね。
スタッフの皆さま本当にお疲れさまでした。そして無事の出産おめでとうございます。

ひと足先に初仔の誕生となった同期の繁殖牝馬の母ぶりと
比べてしまうのは可哀想ですが やはり色々あるんですね。

でもリーダーさんの補助もあり授乳が出来るようになり これから一歩一歩親子の絆が深まっていく様子が
また楽しみでもありすね♪ 新米母さんと父母に似て大きな流星を持つ可愛いメジャー君 ガンバレ!!
2013/03/04(月) 19:54 | URL | 京都はんなり #-[ 編集]
なんだか読んでてこっちまでハラハラドキドキでした。

「オトコだ..」笑っ
このこがメジロマックイーンみたいな馬になってくれることを祈ってます。

オルフェーヴルとドリームジャーニーは本当に大好きな馬で
その母父がこの牧場で生まれたとは
...なんか感激です(;v;)
2013/03/04(月) 22:17 | URL | まさと #-[ 編集]
無事に生まれて良かったですね
おめでとうございます
とにかく、早く会いに行きたいと思っています
母馬はもしかして、ワインさんでしょうか?
金曜日に競走馬便りのアップがなかったので、何かあったのかな?と思っていました
大変だったのですね
本当にお疲れさまでした
まぁとにかく本当に可愛いですね☆
可愛くて可愛くてたまりません
ワーちゃんといい、メジャーくんといい、仔馬のあどけない表情、透き通った瞳…純粋無垢ですね
これからの成長、そして、これから生まれてくる仲間たち、凄く楽しみです
そして、ミケのさりげない感じがたまらないですね
私たち人間には聞こえない馬と猫との会話があるのでしょうか?
今日はブロッケンのFacebookに風の牧場便りが紹介されていて、驚きました
またまた応援団が増えそうですね
3歳組、まずは1勝して欲しいです
2013/03/05(火) 22:05 | URL | じゅんりん #-[ 編集]
ありがとうございます。
人間もそうですが、馬は個体によって出産の形態がさまざまですね。
乳ヤニが付いてすぐ産む馬がいれば、何日もかけて産む馬もいます。
陣痛が長引く馬がいれば、そうでない馬もいて、千差万別といったところ。
そして、産んでからおとなしい馬、そうでない馬。
人間にとっては、手のかからない馬が一番助かりますが、またそんな山を乗り越えた馬にも愛着がわきます。
この後、集団での放牧など、まだ注意しなければいけない場面がたくさんありそうですが、気を引き締めて見守っていきたいと思います。v-22
2013/03/06(水) 11:55 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
ありがとうございます。
メジロオーロラの初仔、デュレンも活躍しました。
この母の仔も、何かを持っているといいですね。
マックイーンも、母の父として再び注目を浴びるようになり、その血が受け継がれることは嬉しいですね。
長生きできればなお良かったのですが、オルフェーヴルやドリームジャーニーにも期待したいと思います。v-22
2013/03/06(水) 12:43 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
ありがとうございます。
先週の”競走馬便り”は、多忙を理由にぎりぎりとなってしまいました。
焦って、土曜の朝に更新したんですよ(汗)。
母馬は、ワインレッドで、ゴーランドと同じ2007年生まれの生産馬です。
生産馬だけにこちらの愛情も深く、なんとかしたいと思いました。
リーダーが無口を持った時に静かになったので、明るい兆しはあったわけですが、翌朝、人間なしで飲ませられるようになるまでは、不安が付きまといましたね。観察していると、仔馬を避けているようで、決して襲いかかろうとしているわけではなかったのが、まだ救いでした。
あれから数日が経ち、今も絶え間なく観察を続けていますが、悪くなる兆候はありません。このまま、順調にいってほしいと思います。
さて、ブロッケンのフェイスブックの件ですが、全弟のオーナーご家族を通じ、先方から「紹介しても良いか」の打診をいただきました。拙いブログで恐縮しつつも、グローリーの幼少時代を多くの方に知っていただけることは幸せだと思い、お返事しました。じゅんりんさんに言われるまで気付かなかったのですが、昨日載っていたのですね。早速、閲覧者数が激増していて、「さすが」と思いました。ひそかに始めたブログで、大きな活躍馬も出ず、埋もれながら、細々と続けているのが現状。新たに閲覧してくださる方々、そして5年前からずっと応援してくださっている方々のどちらのご期待にも応えられるよう、これからも頑張っていきます。v-22
2013/03/06(水) 13:21 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
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