3月19日、父ディープインパクトのサクセスシルエットが、16歳の誕生日を迎えました。
今年も、ファンの方から、箱いっぱいのニンジンとリンゴのプレゼント。
それをポケットに詰めて、放牧地へ向かうと、シルエットは仲の良い馬と、並んで乾草を食べていました。
10歳以下の若い馬が中心の、空胎馬グループ。
時折、小競り合いをしながら、皆でのびのび動き回っています。
雪が消えた地面で、ゴロゴロ。
前搔きをして、楽しそうに、歩いていきました。
プライドの高さは相変わらずです。
群れの中で優位に立とうと、威厳を見せつけている場面を、よく見ます。
それでも、人間にはとても従順で、甘え上手。
私に気付くと、早速やって来て、プレゼントのニンジンを美味しそうに食べていました。
発情のタイミングを早める、ライトコントロールの成果がなかなか出ず、まだ種付けには行っていません。
来年の誕生日には、仔馬を連れていることを願います。
さて、8年前、彼女の誕生日の1日前に生まれたのが、父ハービンジャーの2番仔、ハッピーアワー。
2019年ファルコンステークスの勝ち馬。
昨年、競走馬を引退した後、北海道の乗馬クラブでリトレーニングされ、夏に競技会デビューしました。
高1になってからクラブに通い始めた長男と、初心者どうしの馬場デビュー。
どちらも力みがあり、納得のいく結果とはいかなかったものの、新たな一歩を踏み出しました。
決して乗用馬に向いているとはいえない気性と身体ですが、時折訪れるファンの方にも見守られ、元気に生活。
たくさんの人に支えられ、馬たちの今があります。
今年も、ファンの方から、箱いっぱいのニンジンとリンゴのプレゼント。
それをポケットに詰めて、放牧地へ向かうと、シルエットは仲の良い馬と、並んで乾草を食べていました。
10歳以下の若い馬が中心の、空胎馬グループ。
時折、小競り合いをしながら、皆でのびのび動き回っています。
雪が消えた地面で、ゴロゴロ。
前搔きをして、楽しそうに、歩いていきました。
プライドの高さは相変わらずです。
群れの中で優位に立とうと、威厳を見せつけている場面を、よく見ます。
それでも、人間にはとても従順で、甘え上手。
私に気付くと、早速やって来て、プレゼントのニンジンを美味しそうに食べていました。
発情のタイミングを早める、ライトコントロールの成果がなかなか出ず、まだ種付けには行っていません。
来年の誕生日には、仔馬を連れていることを願います。
さて、8年前、彼女の誕生日の1日前に生まれたのが、父ハービンジャーの2番仔、ハッピーアワー。
2019年ファルコンステークスの勝ち馬。
昨年、競走馬を引退した後、北海道の乗馬クラブでリトレーニングされ、夏に競技会デビューしました。
高1になってからクラブに通い始めた長男と、初心者どうしの馬場デビュー。
どちらも力みがあり、納得のいく結果とはいかなかったものの、新たな一歩を踏み出しました。
決して乗用馬に向いているとはいえない気性と身体ですが、時折訪れるファンの方にも見守られ、元気に生活。
たくさんの人に支えられ、馬たちの今があります。
生後1ヵ月のルヴァンスレーヴ牡馬が、放牧地に出ました。
放牧直後は、母馬がすごい勢いで走り回り、付いていくのがやっとだったルヴァンくん。
母が落ち着いてからは、一緒に点検して回ります。
「ここ、広ーい!」
駆け出したルヴァン。
歩きながら辺りを眺めたり、
跳ね回ったり。
小さな探検の始まり。
段々とエンジンがかかって、動きが速くなると、
心配した母が、追いかけて来ました。
走る2頭の向こうには、いつの間にか観客の姿。
厩舎の寝藁作業の後、朝日が照り始めた放牧地をのぞくと、
ルヴァンくんは、ひとり遊び。
こんなに小さくても、立ち上がると、種牡馬のような貫禄さえ感じます。
草を食んでいる母の横で、「今度は何をしようかな」
「ねえねえ、食べてばっかりいないで、遊んでよ」
「あ、いた!」
すたすたとやって来ると、服の袖口をかじり始めました。
腕をかじられると痛いので、手袋を噛ませて、引っ張り合い。
空いている手で首や額をなでて、そのふかふかの感触を楽しみました。
「バイバイ」とルヴァンに手を振って、隣のパドックを見ると、チュウワウィザード牝馬。
元気の良いウィザードちゃんは、どこからでも目に入ります。
2時間後に、もう一度放牧地へ行くと、興味津々で集まっている仔馬たちの姿がありました。
ウィザードの母は、柵があるにも関わらず、警戒心丸出し。
「うわ、怒られちゃった」
「帰ろうかな」
「お母さーん」
それでも、また、柵の方へ。
駆け回るウィザードに「すごーい!」
ハービンジャー牡馬を見て「こっちは何してるんだ?」
「ねえねえ、面白い仔がいたよ」
「聞いて、聞いて」
その後も、柵の前に立つルヴァンくんを、何度も見かけました。
きっと、誰かと遊びたくて、うずうずしているのでしょう。
放牧直後は、母馬がすごい勢いで走り回り、付いていくのがやっとだったルヴァンくん。
母が落ち着いてからは、一緒に点検して回ります。
「ここ、広ーい!」
駆け出したルヴァン。
歩きながら辺りを眺めたり、
跳ね回ったり。
小さな探検の始まり。
段々とエンジンがかかって、動きが速くなると、
心配した母が、追いかけて来ました。
走る2頭の向こうには、いつの間にか観客の姿。
厩舎の寝藁作業の後、朝日が照り始めた放牧地をのぞくと、
ルヴァンくんは、ひとり遊び。
こんなに小さくても、立ち上がると、種牡馬のような貫禄さえ感じます。
草を食んでいる母の横で、「今度は何をしようかな」
「ねえねえ、食べてばっかりいないで、遊んでよ」
「あ、いた!」
すたすたとやって来ると、服の袖口をかじり始めました。
腕をかじられると痛いので、手袋を噛ませて、引っ張り合い。
空いている手で首や額をなでて、そのふかふかの感触を楽しみました。
「バイバイ」とルヴァンに手を振って、隣のパドックを見ると、チュウワウィザード牝馬。
元気の良いウィザードちゃんは、どこからでも目に入ります。
2時間後に、もう一度放牧地へ行くと、興味津々で集まっている仔馬たちの姿がありました。
ウィザードの母は、柵があるにも関わらず、警戒心丸出し。
「うわ、怒られちゃった」
「帰ろうかな」
「お母さーん」
それでも、また、柵の方へ。
駆け回るウィザードに「すごーい!」
ハービンジャー牡馬を見て「こっちは何してるんだ?」
「ねえねえ、面白い仔がいたよ」
「聞いて、聞いて」
その後も、柵の前に立つルヴァンくんを、何度も見かけました。
きっと、誰かと遊びたくて、うずうずしているのでしょう。
今朝は、生後13日目のサートゥルナーリア牡馬が、母の種付けに出発。
シーズン真っ盛り。相手の種牡馬は人気があり、希望日には先約のため入れませんでした。
これから先、人気馬の種付けは、さらに困難を極めることでしょう。
例えれば”一戦必勝”。無事に受胎するよう、祈る思いです。
馬運車で帰って来ると、放牧地にいたチュウワウィザード牝馬が、車を追いかけるように駆けて来ました。
彼女も、そろそろ友達と遊びたい頃。
馬運車を降りたサートゥルくんは、そのままパドックへと向かいます。
なんと、久々に、ミケが現れました。
寒いのと、水が苦手。雪や湿った地面は、ほぼ歩こうとしないため、土が乾いてきたタイミングで出て来たようです。
お目当てのおやつをゲットして、また暖かい住処へ。
正午過ぎ、太陽が出たので外へ出ると、サートゥルナーリア牡馬は、母と共に、まったりしていました。
隣のパドックのハービンジャー牡馬も寝ています。
よく見ると、ここも、あそこも。
空胎馬たちも、寝そべっていました。
春先に眠たくなるのは、人も馬も同じです。
これは、ルヴァンスレーヴ牡馬。
共同生活を始めた、キセキ牝馬とキズナ牝馬の2組も、接近して寝ていました。
一昨日、ワンサイズアップしたキセキに、キズナと同じ色の馬服を着せたところ、大混乱。
母馬たちが、どちらが我が仔かわからなくなり、逃げるわ追いかけるわの、大騒ぎとなりました。
その日はキセキの服を脱がし、一件落着。
そして昨日から、どちらも服なしです。
先に起きたキセキが、キズナの方へ行きますが、逃げられてしまいました。
徐々に徐々に、です。
こちらは、生後18日目のミッキーアイル牝馬。
生後4日目のハービンジャー牡馬も、いつの間にか起きていました。
昼寝が終わった仔馬たちは、元気いっぱい。
ザザザッと音がする方を見れば、サートゥル。
ちらちら動く方を見れば、ルヴァン。
それぞれが、相手の動きを見て、刺激を受けているようです。
さて、本領発揮といきましょうか!
ぐんぐん成長していく当歳馬たちから、目が離せません。
シーズン真っ盛り。相手の種牡馬は人気があり、希望日には先約のため入れませんでした。
これから先、人気馬の種付けは、さらに困難を極めることでしょう。
例えれば”一戦必勝”。無事に受胎するよう、祈る思いです。
馬運車で帰って来ると、放牧地にいたチュウワウィザード牝馬が、車を追いかけるように駆けて来ました。
彼女も、そろそろ友達と遊びたい頃。
馬運車を降りたサートゥルくんは、そのままパドックへと向かいます。
なんと、久々に、ミケが現れました。
寒いのと、水が苦手。雪や湿った地面は、ほぼ歩こうとしないため、土が乾いてきたタイミングで出て来たようです。
お目当てのおやつをゲットして、また暖かい住処へ。
正午過ぎ、太陽が出たので外へ出ると、サートゥルナーリア牡馬は、母と共に、まったりしていました。
隣のパドックのハービンジャー牡馬も寝ています。
よく見ると、ここも、あそこも。
空胎馬たちも、寝そべっていました。
春先に眠たくなるのは、人も馬も同じです。
これは、ルヴァンスレーヴ牡馬。
共同生活を始めた、キセキ牝馬とキズナ牝馬の2組も、接近して寝ていました。
一昨日、ワンサイズアップしたキセキに、キズナと同じ色の馬服を着せたところ、大混乱。
母馬たちが、どちらが我が仔かわからなくなり、逃げるわ追いかけるわの、大騒ぎとなりました。
その日はキセキの服を脱がし、一件落着。
そして昨日から、どちらも服なしです。
先に起きたキセキが、キズナの方へ行きますが、逃げられてしまいました。
徐々に徐々に、です。
こちらは、生後18日目のミッキーアイル牝馬。
生後4日目のハービンジャー牡馬も、いつの間にか起きていました。
昼寝が終わった仔馬たちは、元気いっぱい。
ザザザッと音がする方を見れば、サートゥル。
ちらちら動く方を見れば、ルヴァン。
それぞれが、相手の動きを見て、刺激を受けているようです。
さて、本領発揮といきましょうか!
ぐんぐん成長していく当歳馬たちから、目が離せません。
3月10日午前1時に、予定日より11日遅れで、父ハービンジャーの牡馬が誕生しました。
前々日から、時折前掻きをしていた母。
9日の晩から、そわそわし始め、日付が変わってからの出産となりました。
元気な男の仔。
自力で立ち上がると、5産目となる母に導かれ、上手に乳を飲み始めます。
初産では、近付く人間に敵意をむき出しにしていた母。
今回は、そこまでではなく、生後2日目の今日、無事にパドックへ。
明るい鹿毛馬です。
ふっくらとした、柔らかそうな馬体。
骨格もしっかりしています。
早速、歩き始めました。
「あれ?なんだろう」
夢中で歩いていると、
食事中のお母さんに、怒られてしまいました。
邪魔されるのが嫌いな、子供にも厳しい母さんなのです。
隣のパドックからのぞく、サートゥルナーリア牡馬。
生後11日目となり、わんぱく盛り。
それでも、まだ人間が苦手。
馬服を着る時、脱ぐ時は、力いっぱい抵抗します。
パワーは半端ではなく、走るのも大好き。
少しずつ、慣れるのを待つしかありません。
さて、ハービンくんも、走り始めました。
母の周りをぐるぐると。
雪ではなく、小雨がぽつぽつと落ちて来ても、
お構いなしでした。
大きな目を見開いて、
やがて、本気モードに。
「こんなことも出来るよ!」
楽しみな1頭になりそうです。
前々日から、時折前掻きをしていた母。
9日の晩から、そわそわし始め、日付が変わってからの出産となりました。
元気な男の仔。
自力で立ち上がると、5産目となる母に導かれ、上手に乳を飲み始めます。
初産では、近付く人間に敵意をむき出しにしていた母。
今回は、そこまでではなく、生後2日目の今日、無事にパドックへ。
明るい鹿毛馬です。
ふっくらとした、柔らかそうな馬体。
骨格もしっかりしています。
早速、歩き始めました。
「あれ?なんだろう」
夢中で歩いていると、
食事中のお母さんに、怒られてしまいました。
邪魔されるのが嫌いな、子供にも厳しい母さんなのです。
隣のパドックからのぞく、サートゥルナーリア牡馬。
生後11日目となり、わんぱく盛り。
それでも、まだ人間が苦手。
馬服を着る時、脱ぐ時は、力いっぱい抵抗します。
パワーは半端ではなく、走るのも大好き。
少しずつ、慣れるのを待つしかありません。
さて、ハービンくんも、走り始めました。
母の周りをぐるぐると。
雪ではなく、小雨がぽつぽつと落ちて来ても、
お構いなしでした。
大きな目を見開いて、
やがて、本気モードに。
「こんなことも出来るよ!」
楽しみな1頭になりそうです。
今朝は、放射冷却で冷え込んだものの、晴れて気持ちの良い朝となりました。
急激に雪解けが進み、渡り鳥たちが一斉に北帰行を開始。
あんなににぎやかだったオオハクチョウやマガンの声がしなくなったことに、少し寂しさを感じます。
牧場は春。
仔馬が跳ね回る季節となりました。
そして、今日は、サクセスシルエットの15歳の誕生日。
リーダーと長男が他馬の種付けに行っていたため、厩舎作業の後、「シールー!」と放牧地を訪ねました。
颯爽と歩いて来るシルエット。
元々8頭の群れで過ごしていましたが、出産と共に1頭ずつ抜けていき、今はひとりです。
隣の放牧地の親子も来たため、ポケットに入っていたニンジンを二つに割って、半分ずつプレゼント。
穏やかに甘えるシルエット。
15年前の夜に生まれました。
父ディープインパクトの、期待の1頭だったことを思い出します。
隣で、跳ね回るのは、父キズナの男の仔。
シルエットは、父系が同じ仔馬の動きをしばらく眺めた後、のんびりと戻っていきました。
もう予定日は15日過ぎていますが、いつも遅いので、あまり気にしていません。
大きなお腹なので、男の仔でしょうか。
午前9時を過ぎた頃から、この時期特有の、強い西風が吹き始め、うんざりしながら家事をしていると、正午前に宅配便が到着。
「冷蔵です」と言われた瞬間に、ニンジンだとわかりました。
毎年、シルエットの誕生日に、ニンジンとリンゴを贈ってくださる方が、一人。
箱を開けると、鹿児島産と書かれたみずみずしいニンジンと、真っ赤なリンゴが、ぎっしり詰まっていました。
本当にありがたいこと!
引退して牧場に戻って来てから、一度も途絶えたことがありません。
頭が下がる思いで、今日の分以外は、一本一本ペーパータオルに包み、ビニル袋へ入れて、冷蔵庫で保管することにしました。
そして、一緒に入っていた手紙をゆっくり開けると、シルエットに宛てた温かい言葉のほかに、引退した息子たちを心配する言葉が。
そうでした。
早くお伝えしなければと思いつつ、日々の忙しさに紛れ、いつの間にか半月以上が経過。
シルエットの2番仔、父ハービンジャーのハッピーアワーは、2月27日に牧場に戻って来ました。
1歳の11月に育成牧場へ移動してから、約5年ぶりの帰郷。
「うるさいよ」と聞いていましたが、本当にせわしく動いていました。
でも、大好きなニンジンを嬉しそうに食べる姿は、全く変わりません。
7年前の3月18日。母の誕生日と1日違いで生まれたのが、ハッピーアワー。
デビューから7戦目。ちょうど4年前のファルコンステークスを制しました。
7歳となった今年、1戦して引退。
2日間を故郷で過ごした彼は、3月1日の早朝、昼夜放牧中の1歳馬たちに見送られながら、リーダーが懇意にしている札幌の乗馬クラブへと出発していきました。
去勢したのち、乗用馬になる訓練が始まります。
コロナ禍前だったこともあり、ハッピーアワーのオーナーには、競馬場へ呼んでいただくなど、本当にお世話になりました。
子供たちがGⅠのファンファーレを生で聞くことが出来たのは、ハッピーとオーナーのおかげです。
そのオーナーが1月に急逝され、動揺。今は、託された馬たちを責任もって見守ることで、恩返ししたいと考えています。
さて、プレゼントのニンジンとリンゴを、シルエットへ。
もちろん、喜んで食べていました。
同じくらいの年になる、ミケが見守ります。
キズナくんは、いたずらの真っ最中。
パトロールを始めた、ミケ。年をとり、行動範囲は狭くなりました。
シルエットの母が亡くなったのは、15歳。
繁殖馬としてのリスクが徐々に高まっていく中、まずは無事に出産できるよう、祈っています。
急激に雪解けが進み、渡り鳥たちが一斉に北帰行を開始。
あんなににぎやかだったオオハクチョウやマガンの声がしなくなったことに、少し寂しさを感じます。
牧場は春。
仔馬が跳ね回る季節となりました。
そして、今日は、サクセスシルエットの15歳の誕生日。
リーダーと長男が他馬の種付けに行っていたため、厩舎作業の後、「シールー!」と放牧地を訪ねました。
颯爽と歩いて来るシルエット。
元々8頭の群れで過ごしていましたが、出産と共に1頭ずつ抜けていき、今はひとりです。
隣の放牧地の親子も来たため、ポケットに入っていたニンジンを二つに割って、半分ずつプレゼント。
穏やかに甘えるシルエット。
15年前の夜に生まれました。
父ディープインパクトの、期待の1頭だったことを思い出します。
隣で、跳ね回るのは、父キズナの男の仔。
シルエットは、父系が同じ仔馬の動きをしばらく眺めた後、のんびりと戻っていきました。
もう予定日は15日過ぎていますが、いつも遅いので、あまり気にしていません。
大きなお腹なので、男の仔でしょうか。
午前9時を過ぎた頃から、この時期特有の、強い西風が吹き始め、うんざりしながら家事をしていると、正午前に宅配便が到着。
「冷蔵です」と言われた瞬間に、ニンジンだとわかりました。
毎年、シルエットの誕生日に、ニンジンとリンゴを贈ってくださる方が、一人。
箱を開けると、鹿児島産と書かれたみずみずしいニンジンと、真っ赤なリンゴが、ぎっしり詰まっていました。
本当にありがたいこと!
引退して牧場に戻って来てから、一度も途絶えたことがありません。
頭が下がる思いで、今日の分以外は、一本一本ペーパータオルに包み、ビニル袋へ入れて、冷蔵庫で保管することにしました。
そして、一緒に入っていた手紙をゆっくり開けると、シルエットに宛てた温かい言葉のほかに、引退した息子たちを心配する言葉が。
そうでした。
早くお伝えしなければと思いつつ、日々の忙しさに紛れ、いつの間にか半月以上が経過。
シルエットの2番仔、父ハービンジャーのハッピーアワーは、2月27日に牧場に戻って来ました。
1歳の11月に育成牧場へ移動してから、約5年ぶりの帰郷。
「うるさいよ」と聞いていましたが、本当にせわしく動いていました。
でも、大好きなニンジンを嬉しそうに食べる姿は、全く変わりません。
7年前の3月18日。母の誕生日と1日違いで生まれたのが、ハッピーアワー。
デビューから7戦目。ちょうど4年前のファルコンステークスを制しました。
7歳となった今年、1戦して引退。
2日間を故郷で過ごした彼は、3月1日の早朝、昼夜放牧中の1歳馬たちに見送られながら、リーダーが懇意にしている札幌の乗馬クラブへと出発していきました。
去勢したのち、乗用馬になる訓練が始まります。
コロナ禍前だったこともあり、ハッピーアワーのオーナーには、競馬場へ呼んでいただくなど、本当にお世話になりました。
子供たちがGⅠのファンファーレを生で聞くことが出来たのは、ハッピーとオーナーのおかげです。
そのオーナーが1月に急逝され、動揺。今は、託された馬たちを責任もって見守ることで、恩返ししたいと考えています。
さて、プレゼントのニンジンとリンゴを、シルエットへ。
もちろん、喜んで食べていました。
同じくらいの年になる、ミケが見守ります。
キズナくんは、いたずらの真っ最中。
パトロールを始めた、ミケ。年をとり、行動範囲は狭くなりました。
シルエットの母が亡くなったのは、15歳。
繁殖馬としてのリスクが徐々に高まっていく中、まずは無事に出産できるよう、祈っています。