牧場一のギャング

真っ白い大地に、無数の馬の足跡。

 

１本の巨木が立つ放牧地では、今、４頭の１歳牡馬グループが、所狭しと遊んでいます。

中でも、一番のワルが、Curlin牡馬。

好奇心旺盛で、何か珍しいものを見つけると、すぐに駆けてきて、調査を始めます。

別の牧場からやって来た、ホワイトマズル牡馬もデュランダル牡馬も、彼のしつこさにはかないません。

生まれてすぐから、ずっと相手をしてきたフジキセキ牡馬が、今日も、彼の挑戦を受けていました。

 

「行くぞ！」「やるかぁ！」

 

交わすキセキを、とことん追いかけ、

立ち上がって、自分の強さをアピールします。

 

まるで、雪上の格闘技。

自分の体をいっぱいに使って、バンバン。

 

ところが、勢い余って、自分からバランスを崩してしまったCurlinくん。

 

おっと、転倒！

 

ふかふかの雪のマットの上なので、何の心配もありませんが、本馬は、一瞬わけが分からなくなった様子。

 

それでも、すぐにピョンと起き上がり、

 

「えーい！何だかわかんないけど、どこもやられてないぞ！」

 

強がって、キセキくんの横をすり抜け、走っていきました。

そして、はじっこに行って、しばらくたたずんでいたかと思うと、

 

いきなり駆け出し、またもやキセキ目指して、一直線！

 

彼の辞書に、「敗北」という二文字は存在しない模様。

「もう一度、勝負だ！」

 

走ったり、噛み付いたり、立ち上がったり・・・・・。

 

それは、負けることが嫌いな彼の根性の表れ。

対するキセキもずいぶん耐えられるようになり、成長を感じました。

 

そんな一面とは裏腹に・・・・。

 

人間に向かうと、少しいたずらっぽい顔をして、あちこち引っ張りまわすところも、彼らの良いところ。

強さと優しさと。大人になっていく馬たちの魅力を、少しずつ楽しんでいます。