初勝利、おめでとう!

ここでは、「初勝利、おめでとう!」 に関する記事を紹介しています。
課題は、”入れ込み”でした。

”ディープ姉さん”こと、父ディープインパクトの2歳牝馬、サクセスセレーネ

新馬戦を、一級の牡馬相手に3着。

期待した2戦目。パドックで、まさかの”入れ込み”を見せ、レース前に力を使い果たした彼女は、いいところなく終わってしまいました。がっかりしたのは、言うまでもありません。

「調教は、いくらでも走る」と、トレセンでも評判の馬だったので、こんなところに落とし穴があろうとは・・・・。

それでも、陣営はあきらめませんでした。

レースを経験し、賢いがゆえに、次の戦いを悟り、テンションが上がってしまう彼女。

それを阻止するために、あらゆる方法がとられたのです。

3戦目。11月12日。緊張してテレビの前で見守る私たち。

そこに現れた、パドックのセレーネは、まだ入れ込みがあるものの、前回と比べると、数段良くなっていました。

ソフトな仕上げ(調教)。ホライゾネット。

心配そうに見守る馬主さんの顔。歩きながら指示を出す調教師さんの姿。

周回する度に、見え隠れする人々の表情を見つめ、じっとその時を待ちます。

1レースであるにも関わらず、セレーネだけは、ジョッキーがパドックで乗らず、地下馬道へ真っ先に連れて行かれました。

馬のために、ありとあらゆる工夫がされていることが、テレビの前に座っているだけでも、すぐに分かりました。

「なんとか勝利をつかみたい!」

願いは、人の尽力のもとにこそ、かなうもの。

結果は・・・・・、まさに、それを証明するかのような、9馬身差の圧勝。

大歓声の後に、深いため息が出ました。関係してくださった方々に、感謝と脱帽。

1年前の今日は、ここにいた”ディープ姉さん”。

11・初勝利・思い出2010年11月
 

ついに、初めての勝利をつかんだのです。

実は、彼女が勝利をあげた時に、ここに載せようと心に決めていたことがありました。

それは、ディープ姉さんの妹分の話です。

2009年2月22日に生まれた、2月生まれディープインパクト牝馬。

彼女は、小さい時から、1月生まれディープちゃんと共にすくすくと育っていました。

昨年の6月。一緒に駆け回る2頭。

11・初勝利・思い出2010年6月
 

昨年の8月。ディープ2ちゃんのお尻で自分のあごを掻く、ディープ姉さん。

11・初勝利・思い出2010年8月
 

今年の5月まで、育成牧場で順調に調教を積んでいたディープ2ちゃんは、突然血液の病を発症し、わずか2年と3ヵ月で、この世を去ってしまいました。

病気の知らせを聞いて、駆け付けたのは、6月2日のこと。

突然発症し、治す手段もないという不幸な病気。「なぜ、うちの仔が・・・」という思いと、なんとか打つ手があるのではないかという、藁にもすがりたい思い。

あの時の苦しさは、表現できません。

育成牧場に着くと、やはり「なんとか助けたい」とあらゆる手を尽くそうとしてくださる獣医さんに出会いました。

食べられずにやせ細るディープ2に、「これなら食べるんじゃないか」と、青草を集めるスタッフさん。

皆が心配してくれている姿を見て、私は、「彼女がこの後どうなったとしても、この姿をカメラにおさめよう」そう思いました。

11・初勝利・ディープ2の2011年6月点滴
 

その時、ちょうど厩舎の斜め上方にある坂路コースで、馬たちが通っていく音がして、ハッと見上げた彼女の顔。

11・初勝利・ディープ2の2011年6月見上げる
 

忘れられません。勝負魂が、揺すられたのでしょうか。

やがて穏やかな顔に戻り、「もしかしたら生きられるかも」と、明るい気持ちが沸いてきたのを覚えています。

11・初勝利・ディープ2の2011年6月
 

しかし、輸血でいったん回復したように思われた彼女に、奇跡は起こりませんでした。

「残念ながら、もう打つ手はない」という最後の知らせを受け、私は、彼女が大好きだったニンジンを持って、育成牧場へ向かいました。

なぜなのでしょう?もう命の灯火の消えかけた馬が、「何も食べない」はずの馬が、私の手のひらのニンジンを、それは嬉しそうに、ムシャムシャとほお張るのです。

嬉しくて、そして、こんなに辛いことはありませんでした。

持参した3本分のニンジンをすべてたいらげ、ぺろぺろとなめてくれたディープ2ちゃん。

こらえていた涙があふれました。

「じゃあね」声をふりしぼって、手を振りました。

亡くなったのは、その2日後です。

期待されながら、競馬場に立つことすら出来なかった妹ディープちゃんを忘れないために、姉貴分のディープ姉さんには、絶対ひとつでも勝ってほしかった・・・・。

「おめでとう!」何も知らないセレーネに、私だけが、幼い頃の思い出を重ね、振り返っています。


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コメント
この記事へのコメント
こんな事があったんですか
読んでたら涙が止まりません
亡くなった馬の分までセレーネには頑張って貰いたいです
2011/11/14(月) 11:47 | URL | とら #-[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/11/14(月) 13:35 | | #[ 編集]
週末にあんなに嬉しい勝利があった裏で、ディープ2ちゃんは亡くなってたのですね。とても悲しいです...

育成先に行くとき、堂々と馬運車に乗り込んだディープ姉さんと違って、この仔は確かちょっと嫌がったんでしたよね。もちろん当時はこんなことは予想もしませんでしたが・・・考えるとなおさら切ないです。yosshieさんの「なぜ、うちの仔が・・・」という気持ち、お察しします。お母さんの手からニンジンを食べられた彼女が、その時ちょっとでも安心できたんなら良いなぁ。。。

嬉しい事も、悲しい事もありますね。辛いことも教えて下さってありがとうございます。
2011/11/14(月) 13:40 | URL | こうべっこ #zf1cwkq6[ 編集]
いつも読ませていただいております

あかんわ、涙がとまらんわ。セレーネちゃん頑張ってほしいすねー
2011/11/14(月) 14:44 | URL | さば #-[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/11/14(月) 15:50 | | #[ 編集]
やんちゃで強気なディープ1ちゃん。
しっかり者で優等生なディープ2ちゃん。
性格は全然違うのに、仲良しでしたよね。いつか競馬場で同じレースを走る日が来ればいいな…と思っていました。まさか、亡くなってしまったなんて。yosshieさんにとって、セレーネちゃんの1勝は、とても大きな意味があったんですね。

1頭の馬が、生まれてから、無事にデビューするまでに、どれほどたくさんの人が関わり、直接的ではなくても、どれだけたくさんの人や馬の祈りがこもっているのか…。セレーネちゃんが背負っているものは大きいですが、これからも気持ち良く走ってほしいです。
2011/11/14(月) 19:06 | URL | クウ助 #-[ 編集]
そんな事があっただなんて・・・
切ないです。 悔しいです。 ショックです・・・・・。
ディープ2ちゃん、食べる事すらできないでいるのに、yosshieさんの手からもらった人参・・・
嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、
あたたかい気持ちでほおばった事と
思います。(1ファンの私にとっても辛い出来事、ディープ2ちゃんが
人参を食べさせてもらえた事、喜んで食べた事に小さな幸せ感じました)
お辛い気持ちでいらっしゃるのに
お伝え下さり、ありがとうございました。
この仔がいたこと、いつまでも忘れないでいたいと思います。
2011/11/15(火) 09:12 | URL | ターフィー #-[ 編集]
ディープ2ちゃんは、yosshieさんがニンジンを持って駈け付けてくれたこと、本当に本当に嬉しかったんだと思います。

もっといろんな気持ちを書きたいのですが、うまく書けません。

ディープ2ちゃんは、体は辛かっただろうけど、yosshieさんとまた会えて安心して幸せな気持ちで旅立ったんだと思います。そう思いたいです。

セレーネ、セレーネに関わる皆さんの夢や、友達、兄弟の思いを乗せて走ってね。応援しています。

ディープ2ちゃんのこと、おつらいでしょうに教えていただきありがとうございました。
2011/11/15(火) 21:53 | URL | bug #-[ 編集]
悲しい出来事でしたね。
病気と闘っている写真の、あの目を見て
こちらもたまらない気持ちでした。

デビュー前に消えてしまう若い命
レース中に事故でなくなってしまう命
行方が分からなくなってしまった命

どの命も同じ、大切でかけがえのない命

サラブレッド生産に携わる方々の辛さを
いろいろ考えさせられました。
2011/11/16(水) 09:15 | URL | けいこ #u8OnUPnI[ 編集]
すっかり出遅れてしまいました。(汗)

土日は所用でレースの結果をチェック出来ず、月曜日にセレーネちゃんの圧勝を知って大喜びでここにきて、ディープ2ちゃんの悲しい事実を知りました。
しばらくは涙があふれて書き込む言葉も浮かびませんでしたが、でも、それでも教えて下さった事に感謝したいです。
仕事とはいえ、yosshieさんの牧場で生まれたり育ったりした仔はみんな可愛いyosshieさんの子供達。
子供たちが多ければ多いほど喜びも多いけど悲しみも多いですよね。
命と向き合う仕事ですもの。別れは避けられない事とはいえ、つらいですよね。
クロちゃんにとっても、今年は別れが重なってしまったんですね。(TT)

でも、yosshieさんがここに書き込むことによって、喜びは何倍にも増えて、悲しみはみんなで分け合えるようになればいいのになぁと思っています。
実際に生産にかかわっている方々のご苦労を考えれば、ここを見ているだけの私たちは何も出来ないですが、でも、私たちはteam yosshieの応援団です!
可愛いこっこ達にも、何歳になってもずっとずっとエールを送り続けます!
なのでまた、可愛いこっこのお話を聞かせて下さいね。

それと、もしよろしければ、リアンくんはどうして引退しちゃったのか教えていただけますか?
開腹手術までしてがんばっていたリアンくん。1勝して「これからだ!」と思っていたら抹消されていたのですごく残念に思いました。
乗馬と聞いたのですが、元気にしてますか?
2011/11/17(木) 11:31 | URL | michi #BFJTYZbE[ 編集]
嬉しいニュースの後に、この話を載せることを最後まで悩みました。
悲しい思いをさせることになってしまい、申し訳ありません。
けれどもセレーネを応援してくださるとのこと、本当にありがたく思っています。v-22
2011/11/17(木) 13:48 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
嬉しい勝利の後の悲しい知らせ、本当に申し訳ありません。
まだデビューしていない2歳馬はたくさんいますが、セレーネの妹分として育ったディープ2ちゃんのこと、いずれ語らなければならないだろうと思い、意を決しました。
私も、この記事を書く前に、自分の昔の記事を振り返りましたが、ディープ2は、本当に馬運車で出発することを嫌がる仔でしたね。
草原でのんびり草を食んだこと、ディープ姉さんとニンジンをとり合ったこと、私を見て、最期に思い出してくれたのかな・・・と思います。
体はびっくりするくらい痩せていましたが、ニンジンを勢いよく食べる姿に「生きたい」という気持ちを感じました。どうすることも出来ない自分がただ悔しくて、涙が出てきました。
いつも応援していただき、ありがとうございます。v-22
2011/11/17(木) 14:12 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
ありがとうございます。
私自身も、書き綴りながら思い出し、涙が止まりませんでした。
セレーネのこと、どうぞ応援して下さい。v-22
2011/11/17(木) 14:15 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
同じ父ディープインパクトの仔でありながら、タイプの違う2頭でした。
どちらもそれぞれの良さがあり、いつか同じレースに出走したら・・・なんて、考えただけで楽しくなる2頭だっただけに、残念でたまりません。
私たち生産者もそうですが、育成牧場の方々も、馬に対して愛情を持って接しておられます。
今回は、彼女の死を通して、そんな一場面も伝えたいなと思いました。
私たちの馬だけではなく、たくさんの競走馬たちが、同じように育てられ、今を迎えていることでしょう。
クウ助さんのように、温かく見守っていただけること、心から嬉しく思います。v-22
2011/11/17(木) 14:28 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
こうして、皆さんに温かい言葉をかけていただき、少しホッとしました。
かけがえのない命を失ってしまいましたが、いつまでも記憶の中で生かしたいと思います。
毎年数頭の仔を送り出しながら、その最期に会える機会は、ほとんどありません。
大好きなニンジンをあげられたこと、それをディープ2がおいしそうに食べてくれたこと、私にとっても幸せなことだったのだと、今思います。
ありがとうございました。v-22

2011/11/17(木) 14:43 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
6月7日に、ニンジンを持っていきました。
すっかり食べてしまったので、「もっと持ってくれば良かった」と後悔しました。
「もっと早く持って行けば良かった」とも思いました。
皆、ディープ2に対して、何かしてあげたい一心だったと思います。
願いむなしくこの世を去りましたが、たくさんの人に囲まれて最期を迎えられたのは幸せだったと思いたいですね・・・。
こうして、たくさんの方々に温かく見守られ、私たちもありがたい思いでいっぱいです。
ありがとうございます。v-22
2011/11/17(木) 15:09 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
本当に、競走馬とは、華やかな表舞台とは裏腹に、厳しい世界を生きる動物ですね。
たくさんの夢がある一方で、敗れる現実もあります。
自分が接する命は、大切にしたいと思います。
日々、馬に接していると、そう思わずにはいられません。
いつも個性豊かで従順な馬たちに元気をもらっているので、辛い現実もしっかり受け止めようと思います。
皆が強く賢く生きられるように、これからも頑張ります。v-22
2011/11/17(木) 16:15 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
温かいメッセージをいただき、ありがたく思います。
セレーネが勝った時は、本当にじわじわと喜びが込み上げてくる感じでした。
新聞などでも推してくださる方がいて、セレーネという文字を見ただけでうきうきしました。
応援してくださっている方に喜んでいただけるのは、やっぱり勝利した時。
私も、このブログを公開している責任を感じながら、なんとかみんなに頑張ってほしいと願っています。
このところ急に寒くなり、外で動くのがとても億劫になる今日この頃ですが、北国の寒さに耐え抜く仔馬の姿を、また綴っていきたいと思います。
当歳馬は、牡馬と牝馬に分かれ、それぞれのグループにも慣れ、元気に生活しています。
また、リアンのことを心配していただき、ありがとうございました。
ダートを颯爽と駆けるセレーネの姿は、半兄の勝利した瞬間を思い起こさせました。
リアンは、うちで休養した後、育成牧場にて調教を積んでいましたが、また腹痛の素振りを見せるようになり、もう競走馬としては無理だろうという獣医師の判断の下、乗馬になるために登録を抹消されました。
その後のことは、またいつか機会があれば、載せたいと思っています。v-22
2011/11/17(木) 16:37 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
素敵なお嬢様でしたのに…

雄大な姿とおっきなハートを
持った・バランスの良い仔だなぁ~
と見ていましたが…

何故か競走馬に成るイメージが
湧いて来ませんでした。


こんな残念な事に成り泣きました
それでも、最後に大好きな人参を
ちゃんと食べて逝くなんて…


やっぱり・賢くて素敵な淑女さん❤
2011/11/18(金) 07:32 | URL | Faruko #-[ 編集]
ありがとうございます。
伸びのある大きな体をした、女の仔でした。
育成牧場でも、目立って良い動きをしていたので、とても残念です。
オーナーはじめ、待ち望んでいた方々をがっかりさせてしまうことも、とても心が痛みました。
大きな気持ちをお持ちの方々に囲まれて、私たちは幸せです。
彼女の代わりに、みんなが走ってくれることを願っています。v-22
2011/11/23(水) 00:10 | URL | team yosshie #uvrEXygI[ 編集]
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