辛い別れ

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 2月生まれのロードカナロア牝馬。

診療センターでの診察の結果は、ショックなものでした。

眼は完全に見えておらず、感覚だけで動いているとのこと。

先天的なものなのか、後天的なものかははっきりせず、治療法もない・・・。

”網膜剥離”と言われた、ということでした。

つい先日まで、普通に生活していたのに・・・と思うと、納得がいきません。

「どうして?」という言葉しか出て来ませんでした。

考えられる理由を上げてみても、答は見つかりません。

競走馬になることが出来なければ、安楽死処分。

その決定に心が痛み、あらゆる可能性を探りましたが、堂々巡りでした。

現実を受け入れるしかない・・・。

誕生から約10ヵ月間育ててきた馬を、目が見えなくなったという理由で、処分しなければならないのです。

それが、現実でした。

いつの間にか涙がにじむ自分に、「感情を無にしよう・・・」と何度も言い聞かせました。

厩舎を移り、パドック放牧となったカナロアのもとへ、私が足を運んたのは、最後の日。

ミルクで育てられた乳母の当歳馬2頭を預かっていて、その仲間たちと一緒に放れていたカナロアは、私の声に反応しました。

「カナちゃん!」

11・カナ・パドック
 

ところが、人懐こい乳母の仔たちが、いそいそとやって来ます。

11・カナ・ポニー
 

「行きたいけど行けない・・・」そう訴えているようでした。

11・カナ・敬遠
 

不安そうな目。

11・カナ・来る
 

「どきなさい!」と、体で押され、

11・カナ・追われる
 

逃げていくカナロア。

11・カナ・よける
 

「生きていくのは、難しいのかなぁ」

そういう感情が生まれてきました。

自分を納得させようとしているのは、確かでした。

隣の放牧地には、当歳の牡馬たち。

11・カナ・オル2頭
 

幼馴染みの牝馬を見つけ、うろうろしている栗毛のオルフェーヴル牡馬をのぞいた4頭が、やって来ました。

11・カナ・走る
 

カナロアが反応します。

11・カナ・見る
 

大好きなニンジンをあげていると、乳母の仔2頭が、「なに?なに?」

11・カナ・乳母の仔
 

一緒に育てられたため、本当に仲の良い2頭でした。

カナロアの幼馴染み、ゴールドアリュール牡馬も、柵ごしにのぞきます。

11・カナ・アリュール
 

彼女だって、みんなと同じように、これからもっと大きくなるはずでした。

11・カナ・ひとり
 

かけがえのない、一つの命でした。

11・カナ・カナちゃん
 

午後2時過ぎ、カナロアが診療センターに運ばれる前に、当歳馬たちが厩舎に入りました。

11・カナ・手入れ
 

手入れを受ける仲間たち。

11・カナ・ハービン
 

アリュールは、カナロアが放牧地に現れなくなってから、時折、鳴いていました。

11・カナ・アリュ
 

「死んでいく馬に、こんなことしたってなぁ・・・」と思いながら、私の足は、採草地に向かっていました。

晩秋になり、そこらじゅうに青々とした草が生えているわけではありません。

でも、最期に、お腹いっぱい食べさせてあげたいと思い、両腕に青草を抱え、カナロアの馬房へ。

嬉しそうに、どんどん食べてくれたのが、彼女と私の最後の思い出。

馬運車へ乗せる時は、皆、無言でした。

11・カナ・馬運車へ
 

ダンカーク牡馬、ゴールドアリュール牡馬、栗毛のオルフェーヴル牡馬。

11・カナ・見送り
 

仲間たちが、不思議そうに、彼女を見送ります。

怖がって前進しないカナロアを、鞭は使わずに、手で押して入れました。

11・カナ・押して
 

小さな後ろ姿。

11・カナ・別れ
 

こんな辛い別れも含めて、生産牧場の仕事だと、改めて思います。

11・カナ・去る
 

私は、ただ見送ることしか出来ませんでした。

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コメント
この記事へのコメント
なかなかブログ更新されなかった理由がわかったような気がします。この年はつらい事が続けて起こり、改めて命を扱うお仕事だと思い、言葉をどのようにかけてよいか迷います。セレーネがこのことを知らないことがせめてもの救い。新しい命が次々生まれてきます。カナちゃんの分まで精いっぱい生きて輝いてと祈ります。皆様、また、前を向いて頑張ってください。応援しています。
2017/03/04(土) 08:43 | URL | yumiko #-[ 編集]
昨年、最初に産まれてきたカナロアちゃんを襲った病魔。
きっと心細い気持ちでいたのでしょうね。
馬の網膜剥離は、治療方法もないのですね。
生きたくても、生きていく事ができなかった命を思うと涙が止まりません。
カナロアちゃん、忘れないからね。
2017/03/04(土) 11:13 | URL | みで #BXkg48Jw[ 編集]
カナちゃんのこと、忘れません。
2017/03/04(土) 19:16 | URL | ウタ #-[ 編集]
かわいかったカナちゃん、短い一生だったけど、一生懸命生きたカナちゃん。どうか、ママやファームの皆さんにいっぱい愛された事だけを思い出に、天国で健やかに過ごしながら、妹のヘニーちゃんやファームの皆さん達を見守ってあげてくださいね。私も皆さん同様、あなたの事忘れません。
ありがとう、カナちゃん・・・。
2017/03/04(土) 20:12 | URL | リボン #-[ 編集]
いつも楽しみにブログを拝見しています。
今回初めてコメントさせて頂きます。
去年リアル母さんのカナくんが亡くなり
今年はセレーネのカナちゃんが…。

スタッフの皆さんの悲しさはいかほどか…
と思うと胸が痛みます。記事にするのもとても辛かっただろうと思います。
忙しい出産シーズン。
どうか皆さんお身体にお気をつけて下さいね。

短い命でしたが
今ごろはきっと天国で成長した
リアルカナくんが姪っ子のカナちゃんを
リードして仲良く走り回ってますよね。

これからもずっと吉田ファームさんを
応援しています。





2017/03/04(土) 22:53 | URL | Naoricky #-[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017/03/04(土) 23:04 | | #[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017/03/07(火) 18:19 | | #[ 編集]
うちには盲目の犬がいて毎年車が買える位のお金を使っていますけど、それは「ペット」だからであって、商品であったらそういう風には扱わないでしょう。
ダウン症の親戚もいますけど、かれを「ごくつぶし」と呼ぶ人はいない。

だけど牧場さんが動物を生産するのなら、採算があわない物に莫大なお金をかける必要なんかないし、「家畜」は「人」や「ペット」とは違う倫理のもとにあると思います。たとえ競走馬でも。

カナちゃんのぶんの命はセレーネさんが持ってる命とこれから生まれてくる命に継ぎ足したってことでいいんじゃないかと思います。
2017/03/07(火) 23:28 | URL | さえ #ri9ZGTXE[ 編集]
カナちゃん網膜剥離だったのですね。
眼が完全に見えてなく感覚だけで動いていた時は不安だったでしょうね…
大好きなお母さんと離れてすぐの出来事に心が一層痛みました。
産まれたばかりの頃は、お母さんのお腹の下をグルグルとまわって歩く可愛い女の仔でしたよね。
好奇心旺盛でアリュール君と仲良しでしたよね。
カナちゃん有り難う。
ずっと忘れませんよ。
吉田ファームの皆さんやお母さんに愛されて、きっとカナちゃんも幸せな時間が沢山あったと思います。
2017/03/08(水) 19:24 | URL | めんめ #-[ 編集]
カナちゃんが産まれたときから
ずっと好きでした。
おかあさんのそばでふと顔を上げたカナちゃん
手術を受けたおかあさんを慕って鳴いていたカナちゃん
可愛くて天使のようなカナちゃん
大好きでした。
ずっとずっと忘れないよ。
2017/03/30(木) 22:29 | URL | けい #menjkS.I[ 編集]
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