辛く長かった1週間~後編

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 3月6日は、一日中、大雨。

おかげで雪がすっかりとけました。

7日の朝、再びパドックに出た、ダンカーク牡馬と乳母。

2頭で放すことは出来ますが、仔馬が近付くと、乳母は耳をしぼって噛みつきます。

授乳の際は、人が横に立ち、彼女の頭絡をつかんでいなければなりませんでした。

「ニンジンがダメでも、草なら喜ぶかもしれない」と、わずかに顔を出す地面の青草を摘み、乳母に。

おいしそうに食べる様子から、「リラックスすれば、態度も変わってくれるかな・・・」と、望みをつなぎます。

と、その時、視界に、見事な大角を持ったエゾシカとたくさんの雌ジカ仔ジカの姿が入ってきました。

3・後編・エゾシカの群れ
 

「え?」

あまりの頭数に、びっくり!

3・後編・エゾシカ2
 

春の気配を感じ、動き出す野性に、1歳牝馬たちも驚いた様子。

3・後編・びっくり
 

幸い、放牧地の隅でじっと見守っていたので、大きな騒ぎにはなりませんでした。

そして、乳母たちは、また、棒で仕切られた馬房に戻ります。

日に日によくなるはず・・・と期待していた状況が、逆に悪くなったのは、8日の朝のこと。

前日と同じように、パドックに放した乳母。

元気いっぱいで駆け回るダンカーク牡馬を、じろっとにらみつけると、いきなり、すごい勢いで柵の隅に追い詰め、噛みつきました。

「まずい!」

なんとか走って逃げたダンカークの肢が震えていることに気付きます。

こちらの心まで、痛みました。

困った顔で隅を歩くダンカークくんを、さらに追い回す乳母。

コラッと怒鳴っても、まったく聞く素振りはなく、急いで、リーダーを呼びました。

つかまえようとしても、「フン」といった顔で、逃げ回る乳母。

なんとか確保し、ひき手綱をつけ、柵につなぎ・・・。

「もう、無理だ。これ以上、この馬に手をかけていられない」

翌日には、他馬の種付けの予定が入り、スタッフの手も足りないため、リーダーは即座に決断を下しました。

知り合いの”乳母”牧場さんに電話。

実は、数日前から、「ベテランの乳母が出産したから、困ったら連絡するように」と、言われていたのです。

事情を話すと、「わかった!」と、即答。そのベテラン乳母を連れてきてもらうことになりました。

「仔馬を追いつめてかじるようになったら、無理だ」とのアドバイスに、「それなら仕方ない」と思いながらも、新米乳母をなんとか出来なかったことに、悶々とします。

実に情けない思いでしたが、目の前で、縮こまっているダンカーク牡馬を見ていると、もう限界でした。

さらに、人が目を離していた隙に、乳母は、柵のネットと自分の間に仔馬を挟んだらしく、気が付くと、仔馬の右目の周りがやけどしたようになっていました。

新米乳母は、元の牧場へ戻り、ダンカークくんは、ひとり馬房へ。

獣医さんに、目を治療してもらっている最中、ベテラン乳母が到着。

それからの出来事は、もう夢のようでした。

冷凍してあった、その乳母の羊水をとかし、ダンカークの顔や体につけます。

生後4日の自分の仔と離された、ベテラン乳母は、到着時にはいなないていましたが、ダンカーク牡馬と一緒にしたとたん、静かになりました。

そして、すぐに乳を飲ませてくれました。

3・後編・大丈夫
 

「ずっと、寝ていないんでしょう?今まで、よく頑張ったよね」という乳母所有のご夫婦の言葉に、涙が出そうになります。

乳母の経験談を山ほど聞かせていただく中で、自分の心の整理もついてきました。

戻った新米乳母の牧場の方も、快く納得していただき、本当にありがたく感じました。

おとなしいので、夕方には枠をとり、親子としての再スタートをきった2頭。

9日の朝。

3・後編・パドックへ
 

一晩で、すっかり乳母になついたダンカークくんは、はしゃぎまわっていました。

3・後編・跳ねる
 

もともと明るい性格なのでしょう。

3・後編・ぬくもり
 

前の乳母の時に、小さくなっていたのが嘘のように、ベテラン乳母にまとわりつきます。

「こんなに近くに行っても、怒られない!」

3・後編・仲良く
 

小さな男の仔にとって、どれだけ心強かったことでしょう。

3・後編・母乳
 

何をしても怒られないので、本当に、やりたい放題。

3・後編・ぺた
 

それでも、黙々と草を食べているベテラン乳母に、頭が下がりました。

3・後編・べったり
 

生後4日で残してきた乳母の仔は、他の子どもたちと一緒にミルクで育てられるそうです。

3・後編・嬉しい
 

そんな馬たちのおかげで、ダンカークくんが競走馬となれることを、忘れてはいけないと思いました。

3・後編・かみかみ
 

少し日が昇った頃、うとうとし始めた乳母が、腰を下ろします。

3・後編・寝ちゃった
 

まねるように、コロンと座ったダンカークくん。

3・後編・僕も
 

3・後編・ころん
 

やがて、乳母は、首を伸ばし、穏やかな寝息を立て始めました。

3・後編・ゴロン
 

心が洗われる風景。

3・後編・すやすや
 

「母親は、いつだって、子どもの”ゆりかご”でないと、いけないんだなぁ・・・」

ふっと、そう感じました。

馬も、人も・・・・。

学ぶことは、山ほどあります。

辛く長い1週間でしたが、得たものは非常に大きい1週間でした。


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コメント
この記事へのコメント
やはりベテラン乳母さんは、頼りがいが有りますね。
ダンカークくんの安心しきった様子が嬉しくて何回も記事を読み返しています。
Team Yosshiesさんも本当にお疲れ様でした。よく頑張りましたね。
心が締め付けられるような本当に辛くて長い1週間でしたね。
ダンカークくんが競走馬になった時には、乳母さんたちに感謝しながら応援します。
2016/04/20(水) 20:20 | URL | aqua #hPjq5csI[ 編集]
ダンカーク君、本当良かったですね。涙。そして、乳母馬さん、ありがとう。
2016/04/20(水) 21:47 | URL | ミーちゃんのママ #/ZuTUYAc[ 編集]
1週間、本当にお疲れ様でした。ずっと気になっていましたが、新しく優しい乳母に巡り会えて良かったです。今ミルクで育てられているこの乳母の本当の仔のためにもダンカーク君にはこれから競走馬として頑張って欲しいです。ずっと私も彼を応援します!
2016/04/20(水) 21:53 | URL | AFMD #oQeybUxQ[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016/04/21(木) 07:08 | | #[ 編集]
辛く忙しく大変な時間
お疲れ様でした。
新米ママさんの気持ちが切ない想いが
怒りとなって...わかる気がします。
でも乳母のお仕事をこれからこなしていかないといけない、頑張って下さいと思います。
ダンくんが明るい性格で良かったですね!
淋しいはがゆい時間を過ごして
やっと安らげる時間を貰えて良かったです(^-^)
ベテランままさん、ダンくんをよろしくお願いします。
更新ありがとうございましたm(__)m
2016/04/21(木) 09:20 | URL | ひーちゃん #bBmFigmc[ 編集]
よかったですね。ほんとに毎日お疲れ様です。
乳母はとてもとても大事な役割なんですね。
最初のきつい乳母さんの自分の仔馬と引き離された辛い気持ちもわかるし、だからよけいに後のやさしいベテラン乳母さんに感謝の気持ちがあふれますね。
ダンカークくんおかあさんがいなくてもやさしい乳母さんがいるからもう大丈夫だね、頑張って大きくなってね。
2016/04/21(木) 09:24 | URL | 午年生まれ #-[ 編集]
ありがとうございます。
ダンカーク君のその後が気になっていました。新米乳馬さんには厳しい結果になってしまいましたがこの経験で次は変わってくれるといいですね。

ダンカーク君はベテランお母さんに甘えているようで安心しました\(^o^)/

まだまだ大変かとは思いますが皆さん体調には気を付けてくださいね。更新も無理しないで下さいね☆
2016/04/21(木) 20:05 | URL | みかん #-[ 編集]
本当にファームの皆さまお疲れさまでした。
そして更新ありがとうございます。

前編・中編と胸が苦しくなるような出来事と葛藤でしたが、こうして優しいベテラン乳母さんに素直に甘えるダン君を見てホッとしました。
それと同時に 産まれたばかりの仔と離れてきたにも関わらず 
こんなにも大らかで優しい乳母さんが 見た目ワイルド?なので
なんだか不思議な気持ちになりました。(*^-^)ゞ
サラブレッドでなくても 栃栗毛と言うんですかね?

いずれにせよYosshieさん、ブログ更新ご無理のないよう・・・

2016/04/24(日) 20:21 | URL | 京都はんなり #-[ 編集]
ダンカークくん良かったね!!
やっと甘えられる母に出逢えた事がなによりもうれしいです。
2016/04/26(火) 10:21 | URL | 颯 #-[ 編集]
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