今日は、強面のジャングルポケット1歳牝馬が、育成牧場へ向けて、出発しました。
関東入厩予定なので、この顔、是非、覚えておいてください。
入念な手入れの後、4本のあしに肢巻きをつけると・・・。
「これ、何よぉ!」と、高く上げながら歩く姿は、ピエロのよう。
顔だけでなく、走っても、インパクトを与えられる馬になるよう、祈りながら見送りました。
去る馬がいれば、来る馬もいます。
昨日、入ってきたのは、当歳のディープインパクト牡馬と、ハーツクライ牡馬。
セレクトセールで購入されたオーナーの方から、1年間、お預かりすることになりました。
一夜明けた今朝、まずは、この地やスタッフに馴れさせるため、パドックに放牧。
別々の牧場からやって来たというのに、初日から、この仲の良さです。
父どうし、歴史に残る名勝負を繰り広げたライバルだった、なんて知らないのだから、仕方ありませんね。
有馬記念で、ディープインパクトに国内で唯一、土をつけたハーツクライ。
その仔は、とても穏やかで、私の手から、すぐに草を食べました。
ディープの仔の方が、少し警戒している感じ。
遠巻きに私を眺めながら、徐々に近付き、「この人間はどんな人かな」と、観察しているようでした。
それにしても、歩く姿は、本当にしなやかで、素晴らしい!
そして、同じ父の仔。当牧場で生まれたディープちゃんに、似ているところが、たくさんありました。
これから、どんな風に成長してくれるのか、とても楽しみな馬の登場です。
ディープインパクト当歳牝馬のお姉ちゃん、A.P.Indy1歳牝馬。
レントゲンで骨にも問題が見当たらなかったため、育成牧場への移動を前に、初期馴致を始めています。
三日目となった昨日は、晴天ながら、ものすごい強風が吹く荒天。
神経質な馬なら、キリキリしても仕方がないような音と風の中、ロンギ場に出されました。
仲間と行動することを好む馬は、こうして一頭でいることすら、試練。
最初は仲間を呼んでいなないていた彼女も、日に日に学習して、人間の指示が聞けるようになってきました。
壁に沿って走ること。
簡単そうに見えても、言葉の通じない馬には、これがなかなか大変で。
厩舎に帰りたくなってしまったA.P.は、入ってきた扉の前で立ち止まり、「出たいよぉ」と、目で訴えていました。
気を取り直して、再び開始。
舞い上がる砂、風の音にも負けず、けなげに頑張ります。
「よくやった」と、厩舎に戻った後は、洗い場で、シャンプーをしてもらいました。
人間と馬との信頼関係づくり、初歩段階は、本当に大変です。
がらんと空いた馬房は、先日、育成牧場へ移動していった、クロフネ1歳牡馬が使っていたところ。
彼は、ここでしっかり馴致を行った後、出て行ったので、すでに、乗り運動に入っているそうです。
きれいに掃除をし終わった馬房に、クロフネくんの名残はありませんが、目を閉じれば、彼の姿が浮かんできます。
離乳した当歳たちが、こちらへやって来る日まで、少し寂しい馬房です・・・。
9月になって、暑い日が多い北海道。
でも、季節は少しずつ移り変わり、ナナカマドの実が真っ赤に色付いています。
牧場の秋は、別れの季節。当歳は、離乳。1歳は、移動。
今日、その移動の先陣を切って、クロフネ1歳牡馬が、牧場をあとにしました。
昨日は、夜間放牧をやめ、馬房でゆっくり休養したクロフネくん。
早朝からパドックに放され、青空をバックにのんびり・・・です。
鼻筋をなでると、気持ち良さそうにして、あいかわらずの人懐っこさ。
「戦闘モード、まるで無しだなぁ」
これから育成牧場での調教が始まることなど、本人(馬)はまったく知らないのだから、仕方ありません。
出発が近くなり、最後の手入れ。
一年半の間、世話をしてきたスタッフの手にも、力が入ります。
仲間と共に過ごした厩舎の長い廊下を歩くのも、今日で最後。
せり会場への往復で、もう乗りなれた馬運車の暗い車内へ、すっと入っていき、彼の姿は見えなくなりました。
出発した車を見て、いなないているのは、昨日までの友。
エンジンの音にまぎれて聞こえなかったのか、クロフネくんからの返事はありませんでした。
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3日に、1歳馬の削蹄がありました。
今月中に移動予定のクロフネ牡馬にとっては、最後の削蹄。
毎月、お世話になった装蹄師さんと、この日でお別れです。
セレクションセールに出る前は、特別に彼のためだけに来てもらいました。
馬にとって、蹄の管理は欠かすことができず、素人では絶対に出来ない職人技のようなもの。
400kg近い体重をバランス良く支えるために、微妙な調整が、ものをいう世界です。
一頭につき、四本。
たくさんの道具を使い分けながら、てきぱきと整えていく様子には、ため息が出ます。
途中、小休止を入れながらの作業は、二十頭近くの1歳馬を終えるのに、3時間近くかかりました。
「この仕事って、絶対こうだってのが、ないんだよね。だからやめられないんだ」
と、スタッフと笑いながら話していた言葉が耳に残りました。
奥が深い仕事。難しい馬ほど、後に走ってくれると嬉しいし、やりがいがあるのだそうです。
削蹄が終了し、放牧前の飼いつけ時間となりました。
「まだかなぁ・・・」と、顔を出して待っているクロフネ牡馬。
そして、こちらは、サクセスブロッケンの妹、サクラバクシンオー牝馬。
兄は、先ほどの装蹄師さんにずいぶんお世話になったことを覚えているでしょうか。
もうすぐ旅立ちの時を迎える1歳馬たち。
たくさんの人の夢を背負って、次のステップへと踏み出していきます。
今日も雨。二番牧草の収穫をそろそろ始めなければならないのに、なかなかスタートできません。
「こっちの方がおいしいぞ!」と、その二番牧草を、顔を伸ばして食べているのは、クロフネ1歳牡馬。
セレクションセールで売れた後、育成牧場へ移動するまでの間、また元の仲間と共に生活しています。
昼夜放牧にも耐え、体はまだまだ成長中。
人間好きも変わらず、すぐに寄って来ました。
広い放牧地で、こうして仲間とじゃれあうのも、あとひと月足らずで、終わり。
わんぱくネオユニヴァース当歳牡馬のお兄ちゃんだけあって、友達にちょっかいを出すのは大好き。
でも、育成牧場へ移動すれば、人間とのやりとりのみで、他馬と接触することは、ほぼなくなるでしょう。
これからが、競走馬になるための、本当に厳しい世界の始まり。
顔の模様も、毛色も違う仲間たち。
それぞれ、進む育成牧場、厩舎が違えば、再び会うこともなくなります。
たくさんの枝に分かれた、分かれ道にいよいよ近付いてきた、1歳馬。
こうして、皆が横一線に並んで、スタートを切る日がやって来るでしょうか。
それは夢のまた夢。
私たちは、皆が無事に成長し、それぞれが競馬場で走る日を、ただ待ち望むのみ。
長い長い時間の始まりでもあります。








































