繁殖牝馬

ここでは、「繁殖牝馬」 に関する記事を紹介しています。
■牧場の1年

誕生 雪・早春親仔 仔馬の顔
牧場のは、仔馬の誕生と共に始まります。

春・仔馬2頭 牧柵のぞき顔 夏の風
風の中、仲間と共に駆け回る

紅葉 秋・とんぼ 秋・朝もや
母と別れる、試練の

雪景色 1歳冬 白鳥
、真っ白い世界の中で、ひたすら春を待ち・・・。

1歳夏 牧草風景 出発
大きく成長した若駒は、二度目の秋に育成牧場へと巣立っていきます。

 ・02-14  ※お知らせ
 ・02-13  ※穏やかな日の幸福
 ・02-10  ※父ヘニーヒューズの牝馬、誕生
 ・02-07  ※久々の展示会
 ・02-04  ※嬉しい勝利

 昨夜遅くに降った雪を、未明から、月が照らし始めました。

放射冷却で冷え込んだ早朝、川からは、霧が立ち上っています。

滅多にない光景・・・と、寝藁上げをやめ、放牧地の間を流れる川へ。

1・朝・日の出前
 

日の出前の静寂を、道路を走る除雪車の轟音が、かき消していきました。

少しずつ明るくなり始める空。

1・朝・厩舎
 

橋の下から、グワッグワッという小さな声が聞こえてきたかと思うと、

1・朝・カモ
 

突然の羽音と共に、カモが舞い上がります。

1・朝・飛翔
 

川霧の様子は、刻々と変化していき、放牧地を隠したり、見せたり。

1・朝・霧と馬
 

そのうちに、東の空が、金色に輝き始めると、

1・朝・木の間から
 

おしゃべりなミヤマカケスが、元気よく飛び出してきました。

1・朝・ミヤマカケス
 

日の出まで、あとわずか。

1・朝・赤みを増す空
 

ここでいったん家に戻り、30分後、再び、外へ。

乾草を食べていた繁殖牝馬のうち2頭が、雪原へと繰り出していきました。

1・朝・雪原へ
 

遠く、日高山脈のてっぺんには、もう朝日があたっています。

1・朝・朝日当たる山脈
 

口をもぐもぐ動かしていた馬の1頭が、

1・朝・もぐもぐ
 

気付いて、こちらへ。

1・朝・こちらへ
 

口の周りの毛が、真っ白。

1・朝・霧で凍ったひげ
 

先ほど川から流れてきた水蒸気が付着して、凍り付いたのでしょう。

気温は、マイナス12度。

牧柵にひっかかった馬の尻尾も、真っ白でした。

まるで温泉の湯気のように、川からわく水蒸気。

1・朝・立ち込める川霧
 

こちらは、体毛まで、ところどころ白くなっています。

1・朝・体毛まで
 

朝日は、山のふちまで届き始め、先ほど放牧地の奥へと繰り出していった馬たちを、照らし出そうとしていました。

1・朝・下りてきた朝日
 

そして、橋の上に立っている私のところまで、光が届いた瞬間。

1・朝・青い空とダイアモンドダスト
 

きらきらと降り注ぐ、細かい氷の粒。

ダイヤモンドダストというのでしょうか。

そして、空から太い一本の光の柱が下りているのに、気付きました。

1・朝・サンピラー
 

サンピラー現象?

その神秘的な光は、数分後には消え、私の存在に気付いた馬たちが、こちらへ。

1・朝・顔
 

乾草を食べていた馬たちは、放牧地へとさらに散らばっていきました。

1・朝・動き出した馬たち
 

数十分の間に、川面の草木は、見事な霧氷の花を咲かせています。

1・朝・川面
 

すっかり青空となり、顔をのぞかせてくる馬たちは、

1・朝・輝きは増し
 

スクールバスを見送りました。

1・朝・スクールバス
 

仲良く顔を連ねる馬たちの足元にも、

1・朝・2頭で
 

素敵な花。

1・朝・霧の花
 

極寒の朝、自然が見せてくれる美しい表情に、しばし時を忘れました。


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 繁殖牝馬になるために、今年の5月に牧場に戻ってきた、トーホウプリンセス。

7歳の、父サクラバクシンオー牝馬。

先月末、初めて、ほかの馬と放れました。

8・新・2頭
 

相手は、今年の1月に牧場に戻ってきた、5歳ディープインパクト牝馬のサクセスセレーネ。

どちらも、空胎馬。来春は出産しないという仲間です。

セレーネといえば、1歳の頃に「ディープ姉さん」と呼ばれていたほどの姉御肌。

気が強く、自分が中心にいないと気が済まない性格でしたが・・・・。

プリンセスは、中央で準オープンまで上っていった馬。

さすがに威風堂々としていて、セレーネが近付くと、「キーッ」と威嚇していました。

8・新・強気
 

「ねえねえ、元のグループに戻してよ!」と、目で訴えてくるセレーネ。

8・新・訴えるセレーネ
 

人間に頼ろうと、私のあとばかりついてきます。

「仲良くやりなさい・・・」というしかありません。

あきらめて、食事を始めたセレーネ。

8・新・なんとなく
 

プリンセスも、そんなセレーネをさりげなく観察しています。

8・新・気にしつつ
 

「あーあ。みんなのところへ戻りたいなぁ・・・」

8・新・遠くを見るセレーネ
 

今まで1頭だったプリンセスと違い、セレーネは、これまで一緒に放れていた友達がいました。

でも、彼女たちはみんな受胎したので、グループ分けされてしまったのです。

再び、こちらへやって来るセレーネ。

8・新・見つめる
 

見つめるプリンセス。

8・新・やって来る
 

彼女は、とにかく淡々と、自分のペースで過ごしていました。

8・新・プリンセス
 

大接近しても、もう威嚇はしません。

8・新・息もぴったり
 

7歳のベテラン牝馬。さすが大人。

隣の放牧地では、セレーネの友達が、またこちらも新しいグループに入れられ、寂しそうにしていました。

8・新・あちらにいるのは
 

やっぱり、向こうが気になるセレーネ。

8・新・気になる
 

それでも、徐々に2頭の距離は縮まることでしょう。

来春、共に受胎し、再来年の春には、揃って母馬になれるように、見守っていきたいと思います。


関連タグ : サクラバクシンオー, ディープインパクト,

 これ以上ないという冬晴れの朝、放牧地を歩きました。

歩き始めてすぐ、青空によく映えるオオワシの姿。

12・冬晴れ・オオワシ飛翔
 

目の前を音もなく飛び去っていき、その美しさに感動。

翼の雨覆いと呼ばれる部分の白がとても目立ち、遠く目を凝らすと、川沿いの大木にとまったことがわかりました。

その姿を追いながら歩みを進めると、繁殖牝馬の1頭が、こちらに気付き、歩いてきます。

12・冬晴れ・スカーレット
 

ビニール袋に詰めてきた馬用リンゴを見せると、喜んでパクッ。

すると、以前から私がリンゴを持って歩いていることを知っているもう1頭が、スタスタ。

12・冬晴れ・ロリー
 

最初にリンゴをあげた馬が、群れのナンバーワンだったため、遠慮がちに近付こうとすると・・・。

そうさせまいと威張る馬と、食べたい馬とのせめぎ合い。

ほかの馬たちも集まってきて、結局、怒ったように1頭が走り出すと、皆いっぺんにいなくなってしまいました。

12・冬晴れ・駆け出す
 

馬は、プライドの高い動物です。

ひとり取り残され、再び歩き出すと、木の梢にアカゲラの姿。

立ち止まると、向こうも気付いたようで、さっと飛び去っていってしまいました。

12・冬晴れ・アカゲラ
 

牧場の敷地のギリギリの柵のところまで来て、先ほどのオオワシをひっそりと撮影。

12・冬晴れ・オオワシ枝
 

その場でしばら毛づくろいをしていたワシは、再び飛び立っていきましたが・・・。

12・冬晴れ・オオワシ飛翔2
 

放牧地を歩いていた私のところに、真っ白な羽毛が飛んできます。

足の羽毛に違いありません。

12・冬晴れ・オオワシの羽毛
 

ひとり喜んでいると、先ほど遠くに行ってしまった馬たちの中から、1頭がこちらへ。

12・冬晴れ・ゴーランド
 

リンゴをあげると、私にぴったりと寄り添い、最後のひとかけらがなくなるまで、付け回してきました。

放牧地の境目まで歩いてきた時に、隣の放牧地の馬もやって来て、挨拶。

12・冬晴れ・幼馴染
 

彼女らは幼馴染みなので、仲良し。

向こうから一生懸命歩いてくる馬は、大きなお腹をしていますが、予定日は3月。

12・冬晴れ・リアル
 

ここは、妊娠馬たちのグループです。

さて、リンゴがなくなったので、一度厩舎に戻って、また袋に詰め直します。

つい最近まで、産卵のためバシャバシャと水しぶきをあげ争っていた鮭たちも、寒さと共にその数が減ってきました。

12・冬晴れ・シロザケ
 

川底には、たくさんの卵が沈んでいて、白くなったのが無精卵、半透明なのが有精卵。

12・冬晴れ・卵
 

冷たさをこらえ、そっと有精卵を手に取ると、中の目がきょろきょろと動き、命を実感します。

川沿いの放牧地には、空胎馬たち。

いつものように、シルエットがすごい勢いで駆け寄ってきました。

12・冬晴れ・シル
 

ここは、日高山脈が一番よく見える場所。

12・冬晴れ・シルと日高山脈
 

真っ白な山々と、ゴロを打つシルエットのお母さん。

12・冬晴れ・ゴロゴロ
 

よく見ると、遠くを走る馬たちも、ところどころ泥だらけ。

12・冬晴れ・駆ける1
 

おのおのゴロを打って、泥浴びをしたことがわかりました。

顔だけ泥だらけのお母さんには、思わずプッ。

12・冬晴れ・駆ける2
 

そんなこんなで、穏やかな冬の日は、人間の心も穏やかになります。

馬たちの表情を観察していると、時間はいつの間にか過ぎていくのでした。


 時ならぬ寒さがひと段落し、日曜日は、朝から晩まで、穏やかで気持ちの良い一日でした。

朝。一面、霜に覆われた大地。

美しさに誘われて、放牧地に出ると、仔馬を連れていない繁殖牝馬たちが顔を出してきました。

11・繁殖・ゴーランド2
 

彼女は、今年初めて出産した、ワークフォース牝馬のお母さん。

ニット帽を引っ張って振り回したり、防寒服をなめてきたり。

まだ6歳。仔馬を連れていなければ、遊び心たっぷりの甘えん坊です。

こちらも、同い年。この春、SeaTheStars牡馬を産んだお母さん。

11・繁殖・ロリー
 

先ほどの馬がいなくなると、すぐにやって来て、「顔をなでて」とじっとしていました。

皆、仔馬と離れると、母の顔が消え、1頭のかわいい牝馬に戻るのです。

向こうには、グルーミングをする2頭。

11・繁殖・グルーミング
 

再び、ワークフォース牝馬の母馬がやって来たので、シーザのお母さんは、あわてて逃げました。

ちょっと離れたところで、残念そうに、こちらを見つめます。

11・繁殖・ちらり
 

繁殖牝馬たちには、群れの中での順位があり、争いを避けるために、弱い馬は、一歩引き下がります。

いたずらを続ける馬の影。

11・繁殖・影
 

そして、今年ダイワメジャー牡馬を産んだお母さんも、近付きます。

11・繁殖・ワイン
 

それぞれが、また新しい命をお腹にかかえ、静かに迎える冬。

離れたところには、独りが好きな馬。

11・繁殖・朝の馬
 

しばらくすると、皆、めいめいに草を食み始めました。

11・繁殖・草を食む
 

朝日に浮かび上がる、馬たちのシルエット。

11・繁殖・朝日に
 

最後に残ったカラマツの黄葉。

11・繁殖・カラマツ
 

カエデはすでに落葉し、霜の花を咲かせていました。

11・繁殖・カエデ
 

夕方。

いつも、一番に入りたくて、集牧の1時間ほど前から、出入り口に張り付いている、繁殖牝馬。

11・繁殖・アース
 

人が通るたびに、首を高く上げ、今か今かと見つめます。

群れの順位は2番。

1番の馬が来る前に、とにかく先に入りたい!

そんな気持ちが伝わってきます。

彼女は、その相棒。

11・繁殖・ファスト
 

少し距離を空け、2番の馬に付き合うように、集牧を待っています。

高い木のこずえから、「キョーン、キョーン」と、聞き覚えのある鳴き声が響き、「あれ?この声は、まさか!」とその姿を捜すと、なんと天然記念物のクマゲラがいました。

遠かったので、急いで近付こうとしますが、遠くの山をめがけて、飛んで行ってしまいました。

11・繁殖・クマゲラ
 

頭頂部の赤が隠れ、パッと見ると、カラスにしか見えませんが、間違いなく、クマゲラ。

普段は、原生林で暮らすこの鳥も、秋から冬にかけ、平地に飛来することもあるのです。

珍しい出会いに感動していると、真っ赤な夕日を背に、当歳牝馬たちが、駆け回りました。

11・繁殖・当歳牝馬夕景
 

ワークフォース牝馬、ディープインパクト牝馬、ハービンジャー牝馬、ステイゴールド牝馬、ファルブラヴ牝馬。

そして、小春日和の1日が、静かに暮れていきました。



関連タグ : ワークフォース, ダイワメジャー, SeaTheStars, , ステイゴールド, ハービンジャー, ファルブラヴ, ディープインパクト,

 クロちゃんが移動して、数日が経ちました。

空っぽになった馬房の前を通ると、あの日の彼女の姿が目に浮かんできます。

あいにくの小雨の朝。

出発前、車庫から出された馬運車の助手席に、私は、ハッカ飴の袋を置きました。

前日の夕方、車を走らせて買ってきたものです。

クロちゃんがアメリカを去る時に、牧場の人からもらったミントキャンディ。

彼女が大好物であることと、遠い牧場の人たちの深い愛情が伝わってきました。

うちを去るクロちゃんに出来ることは、その思いをつなぐこと・・・。

「そうだ。ミントキャンディを用意しないと!」

セリの翌日、先方から「明日移動してほしい」との連絡が入り、時間の余裕がありませんでした。

午前9時には出発するというので、当日買うわけにはいかず、前日の夕方、近くのコンビニまで車を走らせます。

「ない!」

往復10分のつもりで鍋をかけっぱなしにしてきたので気になりつつも、どうしても用意しなければ気が済まない私の性格が、車をそこからさらに10分先のスーパーに向かわせます。

「あった!」

お菓子売り場の飴のコーナーに、「ハッカ飴」の文字を見つけ、急いで手に取りました。

案の定、家に戻ると、焦げ臭いにおい。

底の焦げた筑前煮と、こすってもとれない真っ黒な鍋が出来上がりましたが、私には、ハッカ飴を用意できた満足感の方が勝っていました。

そんなこんなの飴の袋を馬運車に載せた後、クロちゃんのところへ。

彼女は、離れの厩舎の馬房にひとりでいました。

10・飴・馬房の窓
 

秋の馬の移動は、流産を引き起こす感染症にかかるリスクが高いため、他馬との接触を極力避ける必要があります。

小雨が降っているとはいえ、周りの馬たちが皆、放牧に出ているので、寂しそうなクロ。

扉を開けると外を見つめ、ブヒヒヒヒーンと、何度も鳴いていました。

10・飴・のぞく
 

「ごめんね。もう出発だから、外に出られないんだよ・・・」

前掻きをするクロの気を紛らわすため、ポケットに残っていたミントキャンディをすべて食べさせます。

この8年の間に、彼女とはいろんな思い出が出来ました。

難産の末、生きて迎えることが出来なかった命に対して悔やみ、馬の出産に関して猛勉強したこともありました。

いつも気品に満ちあふれ、決して人間に迎合することのない馬でしたが、

その何とも言えない雰囲気が、誰をも引き付けていたような気がします。

馬房は汚さず、ボロは一ヵ所にまとめる行儀の良さ。

彼女のような馬は、滅多にいません。

私は最後に顔を拭き、彼女がつけていた皮もくしのネームプレート部分をピカピカに磨きました。

”Perfect World” それが、クロちゃんの本当の名前です。

しばらくすると、リーダーやスタッフがやって来ました。

手入れの後、

10・飴・手入れ
 

馬運車へ。

10・飴・後ろ姿
 

寂しい後ろ姿でした。

10・飴・馬運車へ
 

雨の音に消されたためか、それとも本当に鳴かなかったのか、クロちゃんが消えた馬運車から、声が聞こえてくることはありませんでした。

10・飴・遠ざかる馬運車
 

代わりに、川の中から、たくさんのシロザケが放つ水しぶきの音が、聞こえてきます。

10・飴・サケ
 

私は、そのまま放牧地へ歩き、クロちゃんが残してくれた娘のところへ。

10・飴・娘
 

これからは、娘の産駒をしっかり育てることで、クロの生活を陰ながら支えていこうと思っています。

昼前、クロを無事に送り届けたリーダーから、こんな話を聞きました。

移動先で、ハッカ飴の話をすると、早速スタッフの方が放牧地でやってみたらしく、「食べないですよ・・・」とのこと。

「いや、絶対食べますから。今日は放牧してなかったから、草を食べたい方が強いんでしょう・・・」

あれから数日が経ち、クロちゃんがあのハッカ飴を食べてくれたかどうかが、少し気になります。

でも、8年前に、海を越えてやって来たミントキャンディを食べてくれたように、きっと新しい場所でも、その味を口にしてくれていることでしょう。

いつか会いに行く時には、あの時のメイドインアメリカの赤と白の縞々のミントキャンディを手に入れて、持って行ってあげよう・・・。

そう思いました。