今日から、十月。1歳馬の移動が、本格的にスタートしていきます。
晴れわたる青空の下、出発していったのは、アグネスタキオン牝馬。
ミントキャンディーが大好きな、クロちゃんの仔。
手入れをしてもらった後、馬運車へ向かいました。
生まれた時から、少し神経質なところのあった、彼女。
「すんなり乗るかな?」との心配どおり、何度か、嫌がる素振りを見せましたが、3人がかりで、無事に誘導。
牝馬では、今年第一号の船出となりました。
そして、今日は、もうひとつ、新しい船出を迎えた、当歳馬たちを紹介しなければいけません。
昨日離乳した、ダンスインザダーク牝馬、クロフネ牡馬を含む、当歳・遅生まれ組。
にわか雨の上がった午後二時過ぎ。すっかり落ち着いて、草を食べる4頭。
どうやらリーダーは、一番お姉さんのディープインパクト牝馬のよう。
思い出したように、立ち止まって、母を捜すクロフネ牡馬。
つられて、ダンスインザダークも、歩き出しましたが・・・・。
ほどなく、ディープ&ネオのいる方向へ、戻ってきました。
母親から十分な愛情を受け、友達との仲間意識もしっかり出来上がっている模様。
5月生まれだから、かわいそう・・・という考えは、この二頭には当てはまりませんでした。
太陽が顔を出し、輝きを取り戻した二頭。
これは、悲しい別れではなく、新たなる出発であることを、私に知らせてくれました。
3月生まれの子供を、幼稚園に入れる、親の心境でした。
「ちょっと、まだ早いのかな。かわいそうだな・・・」
ダンスインザダーク牝馬、クロフネ牡馬の離乳を告げられた朝のこと。
1月生まれが珍しくなくなってきた昨今の競走馬社会。
5月生まれは、すっかり遅い部類で、だからといって、のんびりしているわけにはいきません。
今年最後の授乳風景。
半月ほど、4頭の面倒をみてくれたダンス母さん。
草が大好きなクロフネ母さんも、今日で、子ども達とお別れ。
夕方、親仔の馬房を分けると、また、悲しい、いななきが響き始めました。
二頭の母親は、裏の戸から顔を出し、仔を捜します。
こちらは、一番末っ仔のクロフネくん。
こちらは、ダンスちゃん。
どちらも、まだ4ヵ月なので、狂ったように騒ぐのではないかと、心配しましたが、思いのほか静かでした。
よく見ると、親たちが、あまり鳴いていません。
特にダンス母さんは、悟りきったように、じっと外を見つめたまま。
逆に、隣を心配してくれているのは、ネオユニヴァース牡馬。
窓からのぞいたり、考え込んだりする仕草から、自分のことを思い出しているようにも見えました。
いつもと変わらず、餌を食べていたのが、ディープインパクト牝馬。
すっかり大人になった彼女を見ていると、「みんなも大丈夫!」と、元気がわいてきました。
大きな、こげ茶色の山がふたつ。
ついこの間までは、かわいらしい寝姿だったのに、いつの間にか、こんなに大きくなって・・・。
手前がディープインパクト牝馬、奥がネオユニヴァース牡馬です。
先に起きた、ネオくんが、ディープちゃんをつんつん。
口を半開きにして、本格的にお休み中のディープ。
ネオは、どうしても起こしたいらしく、前あしで、こんこんたたいたり、首をかじってみたり。
「あ、これ、見たことある!」
ディープインパクト牝馬を起こす時の、母の仕草とそっくりでした。
どこで見て、学習したのでしょうか?
ディープとネオの母は、現在、一番はじの放牧地に、ほかの繁殖牝馬たちと一緒に放れています。
離乳直後は、あまり鳴きもせず、落ち着いていましたが、翌日は、やはり放牧地で、仔を探し歩いていました。
でも、先に離乳した、早生まれ組の母馬たちと一緒にすると、こちらの政権争い(順位決め)に没頭。
昼夜放牧もしたので、お疲れになったのか、すぐに静かになりました。
子供たち(ディープ&ネオ)は、離乳した者どうし、常に一緒に行動していますが、母たちは、なぜか違います。
ディープ母は、初対面の、早生まれ組の母たちと交わるのに対し、ネオ母は、なんとなくみんなと離れ、ひとりぼっち。
鹿毛軍団と、栗毛だから?アメリカ産組と、国産だから?
色々違いはありますが、やはり、ネオ母の個性的な性格が、他馬を寄せつけないのでしょう。
妙に人間臭いところがある彼女。我が仔との思い出に、まだ浸っていたいのかもしれません。
木々が茂る放牧地には、どんぐりがたくさん落ちていて、秋が深まっていることを、ふと感じました。
最近、離乳&5月生まれ親仔の放牧地を見るたびに、フッと笑ってしまいます。
ダンスインザダーク牝馬・母さんの周りには、4頭の仔馬がぞろぞろ。
自分の仔、ダンスちゃんに加えて、ディープインパクト牝馬、ネオユニヴァース牡馬。
さらには、まだ離乳していない、クロフネ牡馬までが、くっついているのです。
クロフネ母さんは、遠くの方で、ひとり、草をムシャムシャ。
マイペースな彼女は、夢中で草を食べるうちに、皆とどんどん離れていってしまうクセがあり・・・。
冷たい風が吹く今日も、またまたそんな光景が広がっていました。
風を避け、座って休憩中のダンス母さんの後ろで寝ているのは、クロフネ・ジュニアくん。
ディープちゃんが、ちょっかいをかけに行き、
「何するんだい!」
そこへ、ネオくんも回り込んできて、「おい、おい、起きろよ!」
仕方なく立ち上がったクロくん。
そして、四兄弟を持つ母のような顔で、デーンと座っている、ダンス母さん。
今度は、立ち上がって居眠り。
足下で寝ているのは、ダンスちゃんと、再びやって来たクロくん。
ディープとネオも、やっぱり、近くでちょろちょろしていて、どう見ても、家族のよう。
今まで、目立って子煩悩なところもなかったダンス母さんですが、母のいなくなった二頭をさりげなく受け入れてやっているような気がしてなりません。
先日、お知らせした、本当の初仔(2歳)は、明日の札幌でデビューする予定で、あちこちの新聞等で”期待の新馬”ととり上げられていましたが、直前に、「万全ではない」と、取り止めました。
残念な気持ちもありましたが、無理に使わない、馬を大事にする調教師さんに、今は逆に感謝です。
次回、この不思議な母さんに、良い報告ができますように・・・。
今日は、秋分。雨のち晴れの予報通り、午後から良い天気になりましたが、強風が吹き荒れました。
風に波打つ青草をムシャムシャと食べているのは、ディープインパクト牝馬。
天高く馬肥ゆる秋・・・に、なってきました。
近くの川では、鮭の遡上も始まっています。
放牧地の隅にいた、カルガモの親子が、私の存在に気付き、突然飛び立っていきました。
今年生まれた若鳥は、警戒心の強い親鳥に、まだ色々なことを教わっている最中なのでしょう。
すでに離乳したディープは、もう母親から教わることは出来ません。
西に傾いた太陽の光を浴び、放牧地の中では、仲間と共に・・・。
結構、強気な面を見せるディープちゃんですが。
集牧は、強い母に引率されたダンスインザダーク牝馬、クロフネ牡馬の方が、先。
順番を待っている間、目の前にいるクロフネ親仔が授乳を始め、
「どんな気持ちでいるのだろう」と、母のいない二頭が、少し、かわいそうな気持ちになりました。








































